発掘最前線

仲島遺跡で後漢鏡が完全な姿で出土

【2017年12月12日】

印刷する

博多区井相田の仲島遺跡で中国の後漢時代の銅鏡が割れていない状態(完形)で見つかりました。

 

○平成29年4月に見つかった銅鏡は1世紀末から2世紀前半に製作されたと考えられ、「内行花文鏡」と呼ばれるタイプです。

 

○一緒に出土した土器から弥生時代後期中頃に使われたことがわかります。弥生時代後期の福岡平野では完形の中国鏡の出土は少なく、貴重な例です。

 

○2世紀頃の中国との交易を示す遺物で、弥生時代の年代を考える上でも貴重な資料です。

 

○ この銅鏡を福岡市博物館 企画展示室3「ふくおか発掘図鑑8」で展示しています。
1.展示日程:平成29年12月12日(火)~平成30年4月1日(日)(予定)
2.展示場所:福岡市博物館(早良区百道浜三丁目1番1号)

《解説》出土した鏡について
1.鏡の直径は11.3㎝で,「蝙蝠座」と呼ばれる特徴的な文様があります。また「長宜子孫」の4つの文字が描かれ,これは「とこしえに子孫によからん」と読み,子孫繁栄を願う吉祥句(おめでたい文句)です。
2.出土した青銅器は錆に覆われていることが普通ですが,この鏡は保存状態がよく,かすかに鏡面にモノが映ります。
3.弥生時代の年代は,一緒に出土する中国鏡の年代が一つの根拠となっています。今回は下大隈式と呼ばれる弥生時代後期中ごろの土器と一緒に出土しており,弥生時代の年代を決めるにあたって注目される資料になります。
4.弥生時代の北部九州では,完形の中国鏡は地域の王,首長などの墓に副葬されることが普通ですが,今回は遺跡が広がる微高地の端に,土器と一緒に捨てられたような状態で出土しました。出土状態は祭祀などを行っていた跡と考えられます。今後,鏡をどのように使っていたのか検討する上で貴重な資料です。