令和3年度の成果

令和3年度は木製品について9遺跡352点、金属製品を中心とするその他の材質について12遺跡280点の保存処理を行いました。以下、主要なものについて紹介します。

木製品

1 元岡・桑原遺跡群第52次調査出土木製品

 元岡・桑原遺跡群は九州大学伊都キャンパス造成に伴う埋蔵文化財調査によって発見されました。第52次調査の南側で調査された42次調査と同じく、弥生時代中期後半から後期の流路から農具や工具、祭祀具など様々な木製品が出土しています。
 右下の写真は杓子です。刳物の横杓子で、全長38.9センチを測り、内側に加工痕が多いのが特徴です。柄は皿部の中位から伸びています。
 左下の写真は火鑚臼で、全長25.1センチあります。木材の端に8カ所確認できる穴は、すべて黒く焦げており火をつけた痕跡が認められます。

杓子
火鑚臼

金属製品

1 鉄鉗もしくはエンマ釘抜き

 博多遺跡群第216次調査で出土しました。全長約22センチで全体的に厚みのある、頑丈な造りです。はさみと握りの一部に木質らしき有機物が付着しています。ともに出土した陶磁器などから、時期は近世頃と考えられます。

2 銅製小鏡、杓子、小型容器、小椀

  同じく博多遺跡群第216次調査より出土した銅製品で、上から時計回りに小鏡、杓子、小型容器、小椀です。小型容器の外面には花弁のような意匠が施されています。
 当時の人々の生活をうかがえる資料です。