文化財を見に行こう

5.室見川東岸の遺跡

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福岡市の西南部に位置し、博多湾に向かって扇形に展開する早良平野は、背振山に水源を発して北流する室見川によって形成された沖積平野で、東側 を飯倉丘陵、西側を長垂丘陵で限られている。かっては長閑な田園地帯であったが、昭和40年代以降、道路新設や宅地開発が進行し、現在では平野部と丘陵部 のほぼ全域が都市化されている。これらの開発に伴い、埋蔵文化財の発掘調査も数多く行なわれ、次々と重要な遺跡が発見されている。

この周遊 コースは、室見川東岸地域でこれまで発掘調査された遺跡をはじめ、戦国時代古城跡、名勝に指定されている庭園、国宝の梵鐘、中世の石塔など各種の文化財を 巡る広域的なコースである。起点が地下鉄室見駅、終点が背振山中の曲淵と距離が長く、さらに山城を含むため、車と徒歩を併用した周遊が必要である。

[1] 有田遺跡群
 早良平野のほぼ中央の独立丘陵に位置する旧石器時代から近世にかけての複合遺跡である。昭和40年代から発掘調査が行われ、数々の成果を上げている。 特に弥生時代はじめ頃の環濠は、長径300m、短径200mの大規模なもので、濠断面はV字形をなす。また講倫館高校地内では細形銅戈、遺跡西部では銅鏡2面(前漢鏡・小形製鏡)がいずれも甕棺墓から出土している。  古墳時...
[2] 四箇遺跡群
 標高22m前後の微高地とその周辺に営まれた縄文~古墳時代の複合遺跡。昭和49年から団地建設などに伴って発掘調査が行われた。平野内の微高地で、縄文後期の集落が発見され、また泥炭層から漆器、マメ・ヒョウタンなどの種子が出土したことは、縄文時代の生産、技術などを再考させる一例となった。弥生~古墳時代の水利施設の検出は、原、免、田村遺跡群とともに、早良平...
[3] 妙福寺庭園
 この庭園は、寺の西南側、書院の前にある。書院の前を流れる自然の小川(金屑川)を利用して、その砂を掘り上げ、起伏の豊かな築山を作り、配石、石組は極めて豪快にして簡潔、しかも古格の高い情越には見あきないものがある。そして、背景のモツコク、ツバキ等の広葉樹林および竹林と一体となったその景色は、まことに見事である。  弓なりに流れる自然の金屑川を刀に...
[4] 東入部遺跡群
 早良平野の基部にあたる入部一帯は、昭和62年からの圃場整備に伴う発掘調査の結果、縄文時代から中世にかけての一大複合遺跡であることが分かった。 東入部遺跡群はこの南側を占め、縄文時代包含層、弥生時代集落・墓地、古墳時代集落・墓地(古墳)、古代の官衙的建物群・集落、中世の集落・墓地などの遺構がほぼ全域で確認された。 このうち広橋病院北側で発見され...
[5] 荒平城跡
 早良平野を貫流する室見川(早良川)上・中流域の東西丘陵や山頂には、荒平城をはじめ飯盛城、都地城、曲淵城など平野の要所を占める中世山城が知られている。  荒平城は油山の一支山である荒平山(標高392m)にあり、豊後の戦国大名大友氏の配下にあった小田部民部大輔鎮通が、天文22年~天正7年(1553~1579)の間、居城とした。山頂を本丸(方30間)とし、その下の...
[6] 梵鐘
 寺で使う釣り鐘を、一般に梵鐘と呼ぶ。  西光寺の梵鐘は、承和六年(839)の銘文を鋳出したもので、わが国の紀年銘鐘としては5番目に古く、和鐘の研究上、貴重な基準的作品として注目される。  銘文によれば、この鐘は承和6年(839)に、鴨部氏によって伯耆国(鳥取県)金石寺の鐘として作られたことがわかる。金石寺については明らかでないが、鴨部氏の本拠であっ...
[7] 曲渕ダム
 大正5年(1916)に着工し、12年(1923)に竣工した福岡市初の上水専用ダム。重力式コンクリート造で、外面は御影石の練石積みとする。  昭和6年(1931)から9年(1934)には、早くも拡張工事がおこなわれ、有効貯水量はほぼ倍増した。また、この際におこなわれた漏水防止工事は、セメントガンによる施工として、国内初の試みであった。  堰堤高45.0m、堤頂...
[8] 曲渕城跡
 曲淵は戦国時代から見える地名である。背振山東門寺の寺領で、後に大内氏に支配された。「筑前国続風土記」によれば戦国末期の元亀・天正(1570~1592)の頃、曲淵河内守氏(房)助・信助父子の居城があり、高祖の原田氏に属していたという。  曲淵小学校東側の城山と呼ばれる一帯がそれにあたる。現在主郭部には山神社が鎮座し、南側尾根には、大規模な掘り切りが見ら...
[9] 曲淵五重石塔
 本塔は室町時代の造立と推定される市内でも数少ない層塔である。昭和32年、曲淵小学校前の畑畔にあったものを校庭に移建したものだという。 黄褐色の粗質砂岩製で、基礎から相輪上端までの高さは、275cmにおよぶ。地覆、基礎、塔身のほか、上層は軸部を造り出した笠石を重ね、相輪を頂く繁層式であるが、第3層の軸石だけは、第2層笠石の上部を削って別石を嵌めた後...