令和4年度の成果

木製品

1 雀居18次調査出土木製品

 博多区大字雀居に所在し、福岡空港の滑走路増設に際して調査が行われました。これまで周囲で何度も調査がされており、18次調査でも多数の木器が出土しています。
 写真1は古墳時代初めの把手付方形槽(スギ製)で、長さ51.5㎝、幅12.5~14.5㎝、深さ5.5㎝を測ります。方形の把手が短辺側につきます。
 写真2は弥生時代後期~古墳時代初めの木錘(クスノキ製)で、長さ14.5㎝、幅10.2㎝を測ります。わら製品を編む際に使用されたのでしょうか。輪切りにした材の側面中央には縄を掛けた溝が見られます。

金属製品

1 湖州鏡

 箱崎遺跡第113次調査の井戸(12世紀後半)から出土した直径12㎝の鏡です(写真3)。透過X線で文様や銘文の有無を確認したが見られず、素文であることがわかりました(写真4)。材質を特定するために蛍光X線分析を行った結果、銅・錫・鉛が検出されました。

2 湖州鏡付着鉄製鋏、鑷子状鉄製品、布

 この湖州鏡には鉄の錆に起因する茶色の塊が付着していました。これをクリーニング時に切り取り、透過X線で確認したところ、鋏と鑷子(じょうし)状鉄製品であることがわかりました(写真5、写真6)。また、茶色の塊は脆く、薄皮状に剥離していました。剥離片をデジタルマイクロスコープで拡大観察したところ織物の組織が確認されました(写真7)。布でくるまれていたのでしょう。鉄錆びが染み込んだため、残ったと考えられます。