宇田川原豊年獅子舞
紹介文
宇田川原の獅子舞は元岡・壱岐(昭和35年頃廃絶)の獅子舞と殆ど同型の、演劇的要素をもった獅子舞である。
その由来は、享保年間(1716~1736)、筑前一帯に大飢饉が続いたので、時の庄屋中村伊右衛門が農民救済のため彦山に参籠、彦山権現に37日(21日間)の願を掛け、獅子頭を拝領して帰り、これを宇多神社に奉納して豊作を祈ったところ、翌年は大豊作に恵まれたので、その後はこれを祝って毎年春に舞い続け、今日に至ったものといわれている。戦時中は衰えていたが、昭和21年に復興、現在に継承されている。
獅子は二人立ちで、囃子は太鼓2人と笛4~5人、唄は太鼓打ちが受持ち、演目により1人~数人の演技者が登場する。演目は、①門付 ②猿(三番叟) ③萬作 ④獅子打ち萬作太郎 ⑤餌拾い ⑥源如(餅つき) ⑦藤八 ⑧鬼女の8種目で、宇田川原獅子舞の由来を口上で述べる鬼女が最後に舞われていた。現在は①~⑤が主として上演されている。
各演目の概略は次のとおり。
①門付 ここの獅子舞の基本型で、笛・太鼓の囃子に合わせ、二人立ちの獅子が舞う。各戸を回る時は一度家に入り込み(屋内を祓う)、外に出て舞う。
②猿(三番叟) 出演は猿と獅子。猿は黄色の衣装にチャンチャンコ、襷がけで豆絞りの頬かむりをして烏帽子を冠り、股引に白足袋、手には手甲をつけて御幣と扇を持つ。囃子に合わせて三番叟を踊り、獅子の蚤取り・毯遊びなどをし、獅子の背に乗って退場。
③萬作 獅子が太鼓打ちの歌う祝い唄に合わせて豊年の舞を舞う(以下衣装・歌詞等略)。
④獅子打ち萬作太郎 元岡や青木のものと同型の、鉄砲打ち(萬作太郎)と村人の掛け合い、獅子打ち、五穀の種で獅子が蘇生するという筋立てのもの。
⑤餌拾い ござの上に米または大豆をまき、囃子に合わせて獅子が拾う所作。尻ねぶり・玉ねぶりなど滑稽な所作を混じえる。
⑥源如 げんじょとおさん夫婦の餅搗踊り。軽快な掛け合いがあり、滑稽なしぐさで餅を搗き、祝い唄があって獅子が舞う。
⑦藤八 ひょっとこ面をかぶった男が2人、問答よろしく、万作踊りを踊って女郎買
いに行く軽妙なしぐさをする。
⑧鬼女 宇田川原獅子舞の由来を口上で述べ、鬼女と獅子が登場、鬼女が獅子の首を落とすしぐさをする。獅子の首が三つになって、熊野権現、彦山権現と宇田大神に治り給うたので2月15日の種蒔き祭りが始まったという口上で終る。
現在、正月1日に地区内の宇多神社に奉納するとともに、全戸(約30軒)を回って、「門付」を舞い、盆の8月17日には丸隈山古墳(観音様を祀る)の慰霊祭に奉納している。また、依頼があれば各地の行事に参加して上演している。
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