妙福寺庭園

紹介文
この庭園は、寺の西南側、書院の前にある。書院の前を流れる自然の小川(金屑川)を利用して、その砂を掘り上げ、起伏の豊かな築山を作り、配石、石組は極めて豪快にして簡潔、しかも古格の高い情越には見あきないものがある。そして、背景のモツコク、ツバキ等の広葉樹林および竹林と一体となったその景色は、まことに見事である。弓なりに流れる自然の金屑川を刀に見立てることもでき、またこの両岸の白砂は、まさに福岡らしいともいえようか。なにはともあれ、自然の流れを取り入れた築庭の大胆さは、目を見はるものがある。そして、何よりも際立つ特長は、日本庭園でも珍しい沈床式庭園(サンクガーデン)になっていることである。全体を俯瞰し、底の方に流がきらりと光り、さらに両岸が一体となってつくり出す光景は、力感に溢れ、しかも優しい風情に満ちて親しみやすい。
築庭の年代については、記録がなく、はっきりと定め難いが、その作風から見て、江戸時代を下らないものと推定される。なお、挙大の石を推積して砂の安定を図っている手法等、造園学的にも興味深く、貴重なものである。
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