小呂島の祇園山笠行事
紹介文
小呂島の祇園山笠行事は、飾り山と舁き山を作り、集落の氏神である七社神社の祭礼として毎年7月15日に行われている。毎年、当屋(祭り等行事の世話をする家)が3軒ずつ定められ、当屋を中心に山笠の準備が行われる。
山笠がどのようにして小呂島に定着したかを明確に示す資料は現時点では確認できていない。
小呂島の山笠は、6月下旬に福岡市西区宮浦まで御神体を受け取りに行くところから始まる。御神体は「ごしんさま」と呼ばれ、普段は七社神社の拝殿裏の祠におさめられている。
7月1日に棒洗い、8日に山笠の部材作り、11日に山笠の飾り作りが行われ、14日の朝から山笠を組み立てる。同日夕方には「お神酒の座」が行われる。
7月15日早朝より、男性たちは東の海岸にオシオイトリに行く。5時15分、七社神社の社殿の前では、当屋の叩く太鼓を合図に山笠が出発。山笠は、海水で道を清める先導役に導かれながら、島内を巡り七社神社に戻る。夕方には宵山が行われ、山笠は神社に戻った後に、ただちに崩される。山笠の飾りは各家庭に持ち帰られ、床の間や玄関先などに厄除けとして1年間飾られる。また、山の上に挿してある各漁船の名前を記した旗は、船のお守りとして飾られる。山解きが終わった後、神社の広場では「山解きのお神酒の座」が行われる。
小呂島の山笠は、法被の着用や山笠出発時の太鼓の使用などは、明らかに博多の山笠を意識した変容であり、島における博多という土地への意識の存在がうかがえる。一方で、漁業を生業とする島らしく、山笠の飾りに昆布や魚など海に関する飾りが多用されている点や、舁き棒が3本である点は、小呂島の山笠の特徴と言える。また、年齢別に座が設けられ、島民の信仰を集める場所で山笠が止まり、祝い唄が歌われるという行事の形態には、元来からの島の習俗と島へ流入してきた山笠文化との習合の可能性が感じられる。
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