長垂の含紅雲母ペグマタイト岩脈
紹介文
長垂山を中心とする地域には、リシア雲母などの珍しい鉱物を含むペグマタイト岩脈が多くみられる。
そのうち博多湾を望む海岸線沿い200㎡の範囲が、昭和9年に国の天然記念物に指定された。
ペグマタイトとは、花崗岩質の岩石やその周囲の変成岩中に脈状に産する、おもに石英、長石、雲母からなる粗粒の火成岩で、巨晶花崗岩あるいは鬼みかげとも呼ばれている。
長垂のペグマタイト岩脈は、リチウム、セシウム、ウランなど珍しい70種以上の鉱物が入っていることが確認されている。
主要なものは、石英・微斜長石・アルバイト・白雲母・黒雲母の主成分鉱物やリシア雲母。
そのほか、緑柱石、電気石類、ポルサイト(ポルクス石)などは比較的大きな結晶として見られる。
小さい結晶としては、ざくろ石、トパーズ、亜鉛スピネル、マイクロ石、モンブラ石、コルンブ石類、タンタル石類などの希元素鉱物のほか、燐灰ウラン鉱、ジルコン、モズナ石、ゼノタイム、褐れん石、フェルグソン石などの放射能鉱物がみられる。
しかし、リチウムを含む紅雲母は、戦時中旧陸軍により採掘され、現在ではその美しい淡紅紫色の鱗状結晶群をみることは難しくなっている。
周辺で採取された鉱物標本は、能古博物館(西区)で展示されている。
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