発掘最前線

縄文時代早期(今から約8千から1万年前)の生活の跡を発見

【2013年03月21日】

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 元岡・桑原遺跡群第58次調査について

 平成24年6月から九州大学伊都キャンパス用地内で実施している西区元岡・桑原遺跡群第58次調査で、標高32mの南向きの緩やかな斜面から縄文時代早期(今から約8000~1万年前)の土器片や石器など4000点を超える遺物と石組みの炉跡などを発見しました。
 この石組みの炉は楕円形に穴を掘った後に底石を敷き、側面に石を立てかけて作られています。調理に使用したり、暖をとるための火を焚いたと考えられています。
 また今回見つかった土器は、表面に縄目の文様や貝殻でつけられた筋状の模様、木の枝のような細い棒で作った型を転がしてつける楕円文様などいろいろな模様がつけられていました。このような土器とともに、弓矢の先につけた鏃や石ヤリなどの狩猟に使われた石器や、木の実などをすりつぶすために使った石皿や石斧などの日用品も見つかっています。
 このような道具を使い、縄文時代の初め頃にはどのような生活を送っていたのでしょうか?この緩やかな斜面に炉を作り、狩りのためのキャンプ地として利用していたのか、あるいは植物を採集し、狩りを行い、土器を作りながら生活をしていたのか、などさまざまな可能性が考えられます。
 今後は出土した遺物を検討しながら、遙か昔にどのような風景が広がっていたかを考えていく予定です。

発掘作業風景

石組みの炉跡

刺突文土器
(土器の表面に貝殻でなでた跡があり、縁に棒で突き刺した文様が付けられる)

無文土器出土状況

押型文土器
(土器の表面に楕円や山形の文様が付けられる)