発掘最前線

平安時代の祈りを掘る―飯盛山瓦経塚(いいもりやまがきょうづか)の再発見―

【2012年11月20日】

印刷する

今から約90年前の大正13(1924)年、西区の飯盛山山頂で発掘された「飯盛山出土瓦経」169点は、平成24年3月に福岡市の有形文化財(考古資料)として指定されました。しかし、瓦経が出土した正確な位置や構造等に不明な点が多かったことから、瓦経の指定を契機に、平成24年10月よりその解明のために飯盛山(いいもりやま)瓦経塚(がきょうづか)遺跡の調査を実施しました。その結果、山頂部で大正時代に瓦経を発掘した痕跡と考えられる穴を確認し、その中から多数の瓦経片を新たに発見することができました。

 【調査の概要】
 今回確認した穴は径約2m、深さ1.5mで、比較的軟らかい土で埋められていました。その中から100点を超える瓦経片の他、平安時代の土師器、中国からの輸入陶磁器の細片、近世以降のキセル等が出土しました。この穴は、出土遺物や土の堆積状況、規模等から平安時代に造営された瓦経塚を、大正時代に掘った跡であると判断し、瓦経が出土した場所であると特定しました。今回の出土した瓦経については、現在、経文の確認作業を進めている途中ですが、「法華経(ほけきょう)」や「無量義経(むりょうぎきょう)」、「仁王経(にんのうきょう)」が認められます。また、大正時代に発見された瓦経にもあった、願文(がんもん)を記した僧侶の名を刻んだ貴重な資料も含まれています。

 この調査の詳細は右上のPDFをクリックしてください。

今回出土した瓦経