【指定】国指定 【種別】工芸品
石燈籠一基鎌倉時代の石燈籠に見るようなどっしりした趣はないが、全体にほそやかにまとまって工芸品的な感が深い。各部の作りや飾りの文様の表現など、いくぶん迫力にかける憾みはあるが、全てがいかにも手際よく彫り成されている。この種の石造美術における、この時代の傾向のひとつででもあろうか。
基礎は、下段の六角形の各面を2間に分け、それぞれ格狭間(曲線で囲まれた装飾)をいれる。その上に12葉の複弁の蓮華文の座をやや高く作り、さらにその上に低目の蓮華座を作り出して、竿を受ける座とする。この蓮華座の上面には珠文帯(もんたい)をめぐらす。竿は円筒形、中ほどに大小3条、上・下端に大小2条の帯をめぐらす。中台は、下面に複弁蓮華文を請花状に彫り出し、さらに2段の造り出し(台状の部分)を加える。その各側面は2間に分け、5面には獅子、1面には唐草を浮彫りする。中台上面には、2段の造り出しを作る。
火袋の上段と下段は各面2間とし、上段には横連子、下段には花菱文を彫る。中段は、相対する2面は火口とし、他の4面は蓮台を浮彫りにして、その上に丸窓をあける。笠は幅広い降棟をつくり、棟先は蕨手状に上に巻く。宝珠と請花は1材で作り、請花には複弁蓮華文を刻む。
火袋の底裏に陰刻の銘文があり、観応元年(1350)に、京都の石清水八幡宮の神宮寺(護国寺)の子院である大乗院の燈籠として、石工・井行長が作ったことがわかる。この後、千利休によって筥崎宮に奉納されたと伝えられるが、詳細は明らかでない。
副 称 | 火袋底裏刻銘の終りに「観應元年庚寅六月廿八日勧進尼了法」 「大工井行長」とある |
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指 定 | 国指定 |
区 分 | 有形文化財 |
種 別 | 工芸品 |
所 在 地 | 福岡市東区箱崎1丁目22-1 |
時 代 | 南北朝 |
所 有 者 | 宗教法人 筥崎宮 |