金隈の鳶の水
紹介文
金隈の鳶の水は正月に行われる来訪神行事の一つである。この種の行事は、特に小正月(1月14日)に、扮装した青少年たちが家々を訪れ、祝言を述べて廻る行事が広く全国で行われており、ナマハゲ・コトコト・トビトビ・カセドリ・カセダウチ等のさまざまな名称で呼ばれている。これらの行事では、仮装したり仮面をつけたりした来訪者が、家々を訪れてめでたい言葉で祝福したり、藁馬・銭緡・粟穂・農具・俵・大判小判・杓子などの作り物を持ってきて、餅や銭をかわりにもらっていったりすること、その際に水をかけられることなどが共通しているとされる。
本行事は、言い伝えによると、ある年に疫病がはやり、多くの子供たちがなくなったため、その後、子供たちの健康を祈願するとともに、新年に福を招く意味をこめて、子供たちが町内の一軒一軒を廻るようになったと伝えられている。また火除け、厄除けの祈願とも言われている。
金隈では、毎年正月2日の午前中に行われている。金の隈公民館に集合した後、観音堂を出発し、蓑と笠を被った年長者(中学生)と子供たちが「ワッショイ、ワッショイ」と掛け声をかけながら家々を廻っていく。以前は小・中学生の男子による行事であったが、近年では女子も参加して行われている。各家庭では、蓑と笠を被ったその姿から「鳶」に見立てられた子供にバケツで水をかけ、かわりに志を渡す。子供たちは町内各戸を廻った後、最後にもう一度観音堂におまいりをして終わる。なお、かつては半紙に「早馬」を描いてくばって廻っていたが現在は行われていない。
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