平成23年度福岡市埋蔵文化財調査報告書を刊行しました。 【2012年08月20日】
【2012年08月20日】
福岡市では昭和42(1967)年より毎年、これまでに市域で調査した遺跡の記録である「埋蔵文化財発掘調査報告書」を刊行してきました。平成23年度は42冊の報告書を刊行し、総数で1,175集となりました。これは全国の自治体でもトップの数であり、市内に多くの遺跡が存在することを示すものです。
今回刊行した報告書も市内各地で発掘された遺跡の記録で、その時代も縄文時代から戦国時代に及ぶ幅広いものです。時代別に一部を紹介すると、南区中村町遺跡では、出土例が非常に少ない、縄文時代前期(約5,500年前)の編み物が出土しました。東区香椎A遺跡では縄文時代晩期(約3,000年前)の土器や石器が多数出土し、また、弥生時代の銅矛も出土しました。早良区原遺跡では弥生時代の始まりの頃の集落跡が発見され、土器や木製品が出土しました。早良区東入部遺跡では弥生時代中期の墓地から武器形青銅器や鉄器が出土しました。これらの資料は市の文化財(考古資料)に指定されています。博多区那珂遺跡群では今のところ全国で3例目の弥生時代の巴形銅器の鋳型が出土しました。
昨年度、庚寅銘象嵌大刀の出土で話題になった、西区元岡・桑原遺跡群では一万箱を超える弥生時代中期から後期の土器などが出土しました。南区卯内尺古墳は葺石が巡る5世紀代の円墳で、主体部の石棺から男女4体の人骨が出土しました。西区金武青木遺跡では古代の山城である怡土城に関連する木簡が出土しました。西区大塚遺跡では戦国時代の屋敷地が発見されました。
まだまだ、いろいろな調査成果がありますが、詳しくは福岡市総合図書館、福岡市埋蔵文化財センターなどで閲覧できる平成23年度福岡市埋蔵文化財調査報告書をご覧下さい。
西区元岡・桑原遺跡群の河川跡から発見された多量の弥生土器
※多くの土器の中には山陰地方や朝鮮半島からもたらされたものもあり、幅広い他地域との交流がうかがえます
西区大塚遺跡で発見された溝で囲まれた戦国時代の屋敷跡
※これらの屋敷地はこの地域を支配した原田氏と関係が深いと考えられます