飯盛神社本殿
紹介文
古代以来、旧早良郡7ヶ村惣社として篤い崇敬を受けた、飯盛神社の本殿。
正面3間、側面2間、流造、銅板葺、3間向拝付。建物は乱石積の亀腹基壇上に建つ。向拝柱には水引虹梁を渡し、両端に阿吽の象鼻を付ける。向拝柱上には出三斗を置き、その上の実肘木で桁と、端は海老虹梁、中央は手挟を支える。各柱を地長押、縁長押、内法長押と頭貫で繋ぎ、柱上に出組を置いて出桁を支える。また、組物間に本蟇股を入れ、支輪部分に虹梁を入れる。両側面は支輪部分の虹梁を出組で支え、その上の大虹梁上には大瓶束を2箇立てて虹梁を支え、その上部中央には両側に蟇股風な笈形を付けた大瓶束を立てて棟を支える。
本建築では彫刻が優れ、本蟇股内の動植物の他、側面の虹梁には波や絡みつく龍が彫られている。
当本殿の建立年については、小屋束の墨書に「當社大宮司牛尾大學 天明六年午八月四日記」、梁の墨書に「天明六丙午春」とあり、天明六年(1786)の建立であることが分かる。また、小屋裏の母屋桁に福岡新大工町・博多對馬小路町・荒江村・吉武村・西村の大工等24名の氏名が記され、更に最上部、大瓶束裏面には「博多對馬小路町 大工源次作也」と彫工の名を記しており、当時の福岡・博多等の大工の活動を知ることができる。
飯盛神社本殿は近世に遡る社寺建築として優れた彫刻を有し、また当時の工匠の活動を明らかにする建造物として貴重な存在である。
なお、平成22・23年度に、建立以来初となる半解体を伴う本格的な修理が行われた。
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