今宿古墳群(兜塚古墳)
紹介文
兜塚古墳は、高祖山から延びる丘陵の先端部に位置する前方後円墳である。後世に大きな改変を受け円墳と考えられていたが、平成6年(1994)・平成7年(1995)年および平成15年(2003)の発掘調査によって、前方後円墳であったことが明らかとなった。墳丘は盛り土によって整形されており、後円部の径約43m、高さ約6m、全長53m以上の規模に復元することができる。後円部は、2段の築造がなされ、それぞれの斜面には葺石が施されている。
埋葬主体部は後円部にある横穴式石室で、江戸時代の盗掘により開口し、入り口部分の半ばと床面の大半が破壊されていた。石室は、長さ4.4m、幅2.2~2.4m、高さ1.6mの大きさで短い羨道がつく。床面には、石が敷かれており、調査の結果、数度の埋葬が行われていた。
発掘調査で出土した遺物としては、ガラス製の玉などの装身具、鎧などの武具、鉄鏃・鉄刀などの武器や馬具があり、副葬品の一部であると考えられる。また、古墳の周囲に巡らせた埴輪が多数出土している。
今から約1,500年前の5世紀後半に造られたこの地域の首長墓と考えられる。
また、昭和33年(1958)に、この古墳の後円部の頂上付近から、今から約900年前の平安時代の経筒が発見されており、仏教の経典を写経して、地中に埋納した経塚としても使われたことがわかった。この経筒は高さ約41cm、直径約10cmで、2枚の銅板を合わせて作られており、全国的にも類例が少ない形式である。
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