文化財情報検索

櫛田神社の力石 博多区

印刷する

前列が指定力石
副 称 附 大鵬銘1個、無銘1個
指 定 県指定
区 分 有形文化財
種 別 有形民俗文化財
所 在 地 福岡市博多区上川端町1―41
時 代 江戸
所 有 者 櫛田神社

紹介文

 力石とは力だめしをする石のことだが、その由来は神霊の依坐である石を持ち上げることで豊凶・天候・武運等の神意を伺う石占の信仰に遡ると言われている。又、米一俵分の重さを担ぎ上げる力が成人の資格と考えられ、それを証すために用いられた力石もあった。しかし、やがて本来の意味を失い、若者の力自慢の道具と見られるようになっていった。
 ところで、ここに揚げた力石には以下のような銘文が刻まれている。
 第一石表、「奉納 博多麹屋番 四拾六貫目 富田久右衛門持之 文政十三年五月」同裏、「いつまでもかわらぬ御代の力石六十一で心持良さ」
 第二石表、「奉納 力石 世話人鰯町下 江戸神奈川権次郎持、稲毛平次郎 同春吉 竹田平兵衛 入船茂助 壹州屋伊助」
 第三石表、「差石 四拾貫目 下鰯町南川清助 成田茂助 上鰯町安野善兵衛 世話人漆島伊助 斎藤善三 佐藤治平 成田辰右衛門」
 鰯町は那珂川河口東岸に沿った船問屋や商人宿の町であり、櫛田神社所蔵の『店運上帳』(県指定文化財)によると慶応2年(1866)の鰯町の運上銀は1万匁以上の額にのぼり他町を圧している。上鰯町・下鰯町はそれぞれ現在の須崎町・対馬小路にあたる。
 太宰府天満宮に奉納されている力石(県指定文化財)の一つには、「備後尾道住人利七、博多世話人角力連中 同鰯町若連中、頭取床孝、嘉永七甲寅年」とあり、(博多)角力連中の存在や、鰮(鰯)町の若者組の相撲愛好ぶりを示している。
 第二石、第三石に見える壹州屋伊助と漆島伊助は『店運上帳』にも見え、船問屋の経営者であることが知られる。
 第一石の富田久右衛門は福岡藩御用の素麺屋であり、画家富田渓仙の曽祖父。
 第三石の「差石(サシイシ)は沖縄でいう力石のこと。
 博多津中には相撲を職業とするものたちが居たことが知られ(「博多角力連中」、櫛田神社蔵「子供角力図」絵馬銘文)、彼らは雨乞の相撲、他国への勧進相撲などの興業を行っている(『博多津要録』)。本力石も単に港町の若者の力自慢を伝える名残りとしてではなく、その背景に「博多角力」を置いて見られるべきものであろう。
 なお、平成十二年に御遷宮を記念して近年有名な力士の力石が奉納され、境内の一角に指定文化財の力石と一緒に並べて置かれている。

その他の写真

地図

近隣の文化財

  • 1 櫛田神社 博多区

    櫛田神社
     祭神は大幡主命(おおはたぬしのみこと、櫛田大神)、天照大神(あまてらすおおみかみ)、素戔嗚尊(すさのおのみこと、祇園大神)。天平宝字元...
    詳細を見る
  • 2 博多松囃子 博多区

    1.福禄寿
    【由来】  現在5月3日・4日の「博多どんたく」の中で行なわれている「松囃子(まつばやし)」は、本来は小正月(旧正月15日)の行事で、新...
    詳細を見る
  • 3 博多祇園山笠行事 博多区

    飾り山櫛田入り
     博多祇園山笠は、鎮守神櫛田神社の相殿に祀られている祗園午頭天王(ぎおんごずてんのう、神道では素盞鳴尊)の祭りである。平安時代に始まった...
    詳細を見る
  • 4 櫛田の銀杏 博多区

    櫛田の銀杏
     銀杏は中国語読みの影響があってギンナンと発音される。福岡ではギナンといわれたりもする。標準的な和名はイチョウである。葉の形が家鴨の水か...
    詳細を見る
  • 5 蒙古碇石 博多区

    御供所出土碇石
     博多湾を中心として発見される特殊な考古資料に、「蒙古碇石」がある。  全長が2~3mの角柱状の石で、中央部が最も広く、両端がややせまくな...
    詳細を見る
  • 6 蒙古碇石 博多区

    出土地不明碇石
     博多湾を中心として発見される特殊な考古資料に、「蒙古碇石」がある。  全長が2~3mの角柱状の石で、中央部が最も広く、両端がややせまくな...
    詳細を見る

近辺情報

時代別検索

エリア・マップ検索

種別検索

キーワード検索

  • クリア
  • 検索
カテゴリーの紹介
建造物
絵画
彫刻
工芸品
書跡・典籍・古文書
考古資料
歴史資料
無形文化財
無形民俗文化財
有形民俗文化財
史跡
名勝
天然記念物
文化的景観
伝統的建造物群保存地区
選定保存技術
埋蔵文化財
その他