福岡市の獅子祓い行事

紹介文
福岡市内の祓い獅子の多くは7月、神社の夏越の祓の祭に併せて行われている。青少年が中心となる事例がほとんどであるが、野芥櫛田神社や姪浜事代神社のように成年に達したものが主体となる事例も存在する。 いずれも雌雄の獅子頭を担ぎ地域を巡回する形式で共通しており、野芥や飯盛・畑中・宮浦・姪浜等では戸別に祓いを行う「門祓い」が現在でも行われている。一方、賀茂や中西・東入部・金武の様に、町内を通過する行列に家々から水をかけるのみで門付けは省略されている事例も多い。 獅子は多くの場合一人立ちで頭上に獅子頭を担ぐ場合が多いが、賀茂や中西・東入部中通等では担ぎ手となる子ども達の負担を考慮して、御輿状の台に獅子頭を乗せて運搬する事例も見受けられる。また祓い獅子の行事にあわせ、参加者の潔斎を目的として近隣の川原等でオシオイトリが行われる事例が多いのも地域的特徴をよく示している。 行事の来歴について、飯盛や姪浜事代神社のように江戸時代の飢饉を契機として始められたという伝承を持つものもあるが、それらを含めて史料から開始時期を特定できる事例は存在しない。北部九州には昭和戦前まで、伊勢地方から伊勢神宮の神霊を遷した獅子頭を奉じた「伊勢太神楽」の一団が訪れて家祓い・竈払いを行っていたことが知られ、その影響下で「門祓いの獅子」が地域に定着した可能性が指摘されている。福岡県内では筑後地方に特に濃密に分布する他,筑豊地方や福岡平野周辺、糸島地方等に類似の行事が伝承されている。
以下は、福岡市無形民俗文化財登録の獅子祓い行事一覧である(2025年3月現在)。
・賀茂神社の子ども獅子(早良区)
・中西宮地嶽神社の子ども獅子まつり(早良区)
・中西宮地嶽神社子ども獅子まつり(早良区)
・ 野芥櫛田神社の獅子舞(早良区)
・東入部熊本の獅子まわし(早良区)
・東入部中通の獅子まわし(早良区)
・紅葉八幡宮獅子まつり(早良区)
・ 飯盛の夏越しの獅子回し(西区)
・金武丸天神社の獅子ごもり(西区)
・金武妙見神社の獅子まわし(西区)
・畑中の獅子舞(西区)
・ 宮浦の獅子まわし(西区)
・姪浜の獅子まわし(西区)
・ 姪浜東町事代神社の獅子まわり(西区)
・下和白大神神社の獅子廻り(東区)
・ 奈多高浜の獅子舞(東区)
・奈多西方の獅子舞(東区)
・奈多前方の獅子舞(東区)
・奈多牟田方の獅子舞(東区)
・今泉若宮神社の獅子祭り(中央区)
・紺屋町子供獅子祭(中央区)
・鳥飼八幡宮子供獅子まわし(中央区)
・高宮八幡宮獅子まつり(南区)
・荒江櫛田神社の獅子まわし(城南区)
・祖原獅子祭り(早良区)
地図
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