志賀海神社歩射祭
紹介文
正月2日から15日まで行われる年頭の行事。馬に乗らずに弓を射るのでこの名がある。阿曇百足の土蜘蛛退治伝承にちなむもので、破魔の目的と年占の意味を兼ねた神事である。近年では1月15日に近い日曜日に歩射が行われている。
氏子から選ばれた若者が厳しい斎戒を経て射手衆となり、神社参道に立てられた大的を射る。射手衆は経験者の「古参」と新入者の「新参」に分かれる。古参の年長者が「長座」と呼ばれる若者の指揮者となる。
イトウベンサシ(大宮司一良)の指導で射手衆八人が、2日の「胴結締(どいじめ)」から準備を始める。胴結は弓稽古用の巻藁である。古くは射手衆、射手世話人8人、宮総代12人の手で作られた。重さは120㎏程である。
13日には、新参が胴結を背負って頓宮まで行き「胴結舞(どいまい)」をする。射手衆は11日から朝夕海中に入って禊を行い、参籠して精進を続ける。14日には、射手衆が昇殿の資格を得るため、勝馬にある沖津宮・中津宮に詣る「位上げ」を行う。新参は海中に入り「ガラ藻」を採って沖津宮の神前に供える。この日まで、新参は数々の儀礼を経て一人前の射手衆の資格を得る。なお現在はこれらの儀式は歩射の前日に行われている。
15日(現在は15日に一番近い日曜日)、射手衆は立烏帽子・浄衣の装束で拝殿に参集する。祭典後、「扇の舞」を奉納する。細男の態と伝える古風な舞である。続いて、大的を背負った社人を先頭に庭内を三巡する「的廻り」がある。また、イトウベンサシは楼門前の橋上で狩股の矢で天地四方を祓い、的場では、大的の黒的(コマナカ)に矢を射込み、矢をさしたまま神前に納める。由来伝承の土蜘蛛退治を演じるのである。続いて、射手衆の歩射となる。1人3回、1回2矢つまり合計48本が射込まれる。黒的に当たると観衆が〝ヨイヤァ〟とはやし、最後の一矢が放されると観衆が「的破り」をして行事を終える。
行事の各所に古風を残した貴重な祭礼である。
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