4.有力者たちが眠る場所-特定集団墓-有力者のお墓と一般の
人のお墓の違いはどこに
あるんだろう?
特別な埋葬のルール
特定集団墓は、約20m四方の範囲に、十数基の墓が向きをそろえて整然とならんでいます。葬られた人の骨は残っていませんが、副葬品の位置から、多くが頭を北東に向けていたことがわかります。
特定集団墓では、木棺墓(2・3号)と墓坑の大きい甕棺墓(110・117 号)が最初につくられました。そして、それらを傷つけることなく、その間を埋めるようにほかの甕棺墓がつくられています。古い墓を壊すことなく新しい墓をつくることができるのは、古い墓の上に石や盛り土を置き、目印としているためで、一般の墓から区別されたこの墓域は、世代をこえて特別な場所だったようです。なお、特定集団墓の多くは、盛り土をして道路の下に保存されています。
集団墓から個人墓へ
表 墓地の変遷
① 集 団 墓 |
広い墓域のなかでかたまり状・列状につくられる。甕棺ロードなど
盛り土(墳丘)や溝で区別された墓域に、複数の墓がつくられる。 |
② 特定集団墓 |
特定集団墓・樋渡墳丘墓など。 |
③ 特定個人墓 (王墓) |
区別された墓域に明確な形で特定個人(王)・一族が葬られる。吉武遺跡群ではあらわれなかった。 |
弥生時代の墓の変化をみることにより、王がどのようにあらわれていくのか、知ることができます。
墓のあり方は、
①集団墓→②特定集団墓→③特定個人墓 のように変化します。
特定個人墓が、通常「王墓」と呼ばれるものです。吉武遺跡群における墓を当てはめれば、表のようになります。