6.シカに見る弥生人の精神世界弥生人の人は、絵にどんな
メッセージを込めたのかな?
特別な場所でみつかった「2頭のシカ」
特定集団墓の中心部で発見された112 号甕棺の下甕には、「2頭のシカ」が描かれていました。上は枝分かれした立派な角をもつオス、下は春先に角が抜けおちたオスか、角のないメスと考えられます。お互いに向きを変え、2頭の間にスペースを取ることで、空間的な広がりも感じさせる仕上がりとなっています。
弥生の絵にかくされたメッセージ
シカは弥生時代によく描かれました。毎年生えかわるシカの角に、イネが発芽して実るまでのサイクルを重ね、生命の循環や再生を祈ったといわれます。―シカの絵の根底にあるのは、死者は祖霊の仲間入りをし、祖霊はふたたび新たな生命として生まれ変わるという再生観であり、甕棺に刻まれたシカには、世を去った者への鎮魂と再生への思いが込められている―、このように考える研究者もいます。